特定遊興飲食店営業とは?許可が必要な営業と許可の取り方を詳しく解説

特定遊興飲食店許可は、平成27年の風営法の法改正で登場した比較的新しい許可制度です。改正前は「客にダンスをさせる」という行為そのものに着目して風営法の規制の対象にしてきましたが、時代の変化とともに最早ダンスはスポーツやサブカルチャーの一種という側面が強まってきたことを受け、平成27年の法改正に至ることになります。
この記事では、比較的新しい特定遊興飲食店営業という許可について、どのような営業では許可が必要なのか、どのように許可を取得するのかということを詳しく解説していきます。
許可が必要な営業とは?
冒頭でも申し上げましたが、特定遊興飲食店営業許可は平成27年に登場した比較的新しい許可制度です。
改正前は、旧1号営業や旧3号営業、旧4号営業など営業の種別で別れていたものの、そのすべての営業で客にダンスをさせることが規制の対象とされていました。特に旧3号営業では営業の種別がナイトクラブということで特に特定遊興飲食店営業に受け継がれています。
この法律において「特定遊興飲食店営業」とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前六時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)をいう。
風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律 第2条第11項
ダンスという文言はなくなっていますよね?このように改正後は客にダンスさせる行為そのものに着目して規制するのではなく、次のような営業内容では許可が必要というスタンスを取っています。
- 営業者側が積極的に不特定の客に対して遊興させる
- 深夜(午前0時から午前6時)に営業していること
- 客に酒類を提供していること
- 風俗営業に該当していないもの
4つの要件すべてに当てはまる営業は、特定遊興飲食店営業の許可が必要になります。1つでもかけている場合は許可は必要ありません。(他の許可や届出が必要になる場合もあります)
そこで具体的にはどのような営業内容が上記の1〜4に当てはまるのか、ということを詳しく説明していきます。
営業者側が積極的に不特定の客に対して遊興させる
そもそも客に遊興させるとはどういう意味やねん、と思われますので風営法解釈運用基準で説明しますと、遊興させるとは次のような意味です。
まず、「営業者側が積極的に不特定の客に対して遊興させる」には2種類あります。
- 鑑賞型サービス
- 参加型サービス
1の鑑賞型サービスには、ショーなどを鑑賞するように客に勧める行為、実演者が客の反応に対応し得る状態で演奏・演技を行う行為などは、お店側の積極的な行為に当たります。これに対して、単にテレビの映像や録音された音楽を流すような場合はお店側の積極的な行為に当たりません。
2の参加型サービスには、遊戯などを行うように客に勧める行為、遊戯などを盛り上げるための言動や演出を行う行為などは、お店側の積極的な行為に当たります。これに対して、客が自ら遊戯を希望した場合に限ってこれを行わせるとともに、客の遊戯に対してお店側が何らの反応も行わない場合は、お店側の積極的な行為に当たりません。
具体的な「遊興行為」は次のような行為です。
風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準について 第10
- 不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為
- 不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為
- 客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為
- のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為
- カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為
- バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為
逆に次のような行為は「遊興行為」に該当しません。
風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準について 第10
- いわゆるカラオケボックスで不特定の客にカラオケ装置を使用させる行為
- カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客が自分から歌うことを要望した場合に、マイクや歌詞カードを手渡し、又はカラオケ装置を作動させる行為
- いわゆるガールズバー、メイドカフェ等で、客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりせずに、単に飲食物の提供のみを行う行為
- ボーリングやビリヤードの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる行為
- バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為(客自身が応援等を行う場合を含む。)
ここまででどのような行為が遊興行為になるか大体おわかりになったと思うので、次の要件である「深夜に営業していること」を詳しく説明していきます。
深夜(午前0時から午前6時)に営業していること
特定遊興飲食店営業許可は、深夜に遊興行為をするための許可なので深夜に営業しないお店は特定遊興飲食店営業許可は必要ありません。ですので、午前6時から午前0時までは許可を受けることなく遊興行為を行えます。
このように風営法が深夜に遊興行為の規制を求めるのは、深夜は、日中の勤務時の緊張から解放され、長時間にわたって慰安を求め続ける者が多くなる時間帯であり、こうした者が風俗上の規範を逸脱するおそれがあることを危惧しているからです。
アミューズメントカジノやゲームバーは深夜に営業できるのか?
アミューズメントカジノやゲームバーは基本的に5号営業(ゲームセンター)に該当するので深夜に営業はできません。特定遊興飲食店許可を受けてゲームを設置し、深夜に客に遊興させる場合は5号営業での規制の対象になっていないダーツやビリヤードなどを設置して大会やイベントをすることになります。また、お店側が関与せずに客が勝手にゲームを使用する場合(5号営業の規制の対象になっているゲーム類はダメ)は深夜酒類提供飲食店営業の届出を提出しましょう。
客に酒類を提供していること
要件3つめは「客に酒類を提供していること」です。これは読んでそのままですが、深夜にお酒を提供しているという要件になります。
なぜ酒類を提供していることで特定遊興飲食店営業許可が必要になるのか、というと風営法解釈運用基準では次のような理由になっています。
このような時間帯である深夜に、飲酒をする客に対し、営業者側が積極的に働き掛けて遊興をさせた場合には、遊興に伴う騒音、営業所の周辺での酔客の粗暴・卑わいな行為、痴漢や売春といった性的な事案等を始めとする風俗上の問題が生じるおそれが高いと考えられる。
このため、飲食店営業における深夜の遊興に対する規制を緩和するに際し、深夜・遊興・飲酒という3要素の全てを満たす営業を特定遊興飲食店営業とし、所要の規制を行うこととしている。
風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準について 第10
深夜の歓楽街ではお酒に酔っ払っている人もよく見かけますし、そこに遊興という気持ちが高揚する行為が加わることによって何かしら問題が起こってもおかしくありません。そこで「深夜」・「遊興」・「飲酒という3要件をすべて満たす営業には「特定遊興飲食店営業許可」を受ける必要があるわけです。
ですので深夜に客に対してお酒を提供しないお店は許可の必要はありません。ただ午前0時まではお酒を提供して午前0時以降はお酒を提供しません、といっても警察は信用してくれませんのでご注意を・・・。
お酒を提供するの意義
「酒類を提供する」とは、酒類を飲用に適する状態に置くことをいい、営業者がこれを客に販売したり、贈与したりする場合に限らず、客が持参し、又はボトルキープの対象となっている酒類につき、燗をしたり、グラス等の器具、氷、水割り用の水等を提供したりする行為は、「酒類を提供する」に当たります。
風俗営業に該当していないもの
これはどういうことかというと、風俗営業に該当する営業は、その該当する風俗営業許可を受けて営業しなさいよ、ということです。
例えば、ゲームバーやカジノバーで5号営業(ゲームセンター)の規制対象遊技設備を設置するのであれば、5号営業(ゲームセンター)の許可を受ける必要があり、深夜に営業するいことはできません。また、客室内や客席の照度を10ルクス以下で客に遊興させる営業は2号営業(低照度飲食店)の許可が必要になる可能性もあり、2号営業に該当した場合はこれもまた深夜に営業することはできません。
ただ、ハードルは高いですが同じ営業所で風俗営業から深夜に特定遊興飲食店営業に引き継ぐことは可能です。
風俗営業終業後に引き続き同一の営業所を利用して特定遊興飲食店営業又は飲食店営業を営むことは、時間外営業等の脱法行為を誘発するおそれがあるので、次のような措置が講じられ、営業の継続性が完全に断たれる場合に限り、特定遊興飲食店営業又は飲食店営業としての継続を認めるものとする。
風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準について 第17-2
次のような措置を講じることによって風俗営業から深夜に特定遊興飲食店営業に引き継ぐことができます。
- 1号〜3号営業(接待飲食等営業)の場合
接待飲食等営業については、全ての客を帰らせるとともに、接客従業者も帰らせ(客としても残らせないものに限る。)、別会計にして営業すること。 - 5号営業(ゲームセンター)の場合
ゲームセンター等については、遊技設備設置部分を区画して当該部分を閉鎖して立ち入れないこととすること又は遊技設備を撤去する(遊技設備の元の電源を切り、かつ、遊技設備に覆いを掛けるなど撤去に準じる措置を講じることでも差し支えない。)ことによって営業すること。
特定遊興飲食店営業で5号営業の規制対象遊戯設備を設置する場合

特定遊興飲食店を営もうとしている人が、ポーカー台やトランプ台、スロットなど5号営業の規制対象遊技設備を設置しようとする場合も考えられます。その場合の取り扱いは次のようになっています。
①遊技設備を設置して客自身に使用させるとともに、当該遊技設備を用いずに客に遊興をさせ、かつ、客に飲酒をさせる業態の営業を深夜に営もうとする場合
- 遊戯設備を客自身に使用させることにつき5号営業(ゲームセンター)許可が必要
- 遊技設備を用いずに深夜に客に遊興と飲酒をさせることにつき特定遊興飲食店営業許可が必要
ただこの場合でも5号営業(ゲームセンター)の許可については風営法の規制が適用されますので、風俗営業から引き継いだ場合の措置と同じく遊戯設備を客自身が使用できないように遊戯設備を撤去または撤去に準じる措置を講じる必要があります。
なお、客室の床面積に対して遊戯設備の面積が極端に少ない場合(いわゆる10%ルール)は5号営業許可を受ける必要はなく、風俗営業が認められない時間になった後も当該遊技設備を客自身に使用させることが可能です。
②遊技設備を用いて客に遊興をさせ、かつ、客に飲酒をさせる業態の営業を深夜に営もうとする場合
- 遊技設備を用いて客に遊興をさせることにつき5号営業(ゲームセンター)の許可が必要
②は、営業者側が5号営業(ゲームセンター)の許可が必要な遊戯設備を設置し、当該遊技設備を使用して積極的に客に対して遊興させる場合です。①の場合との違いは、①は営業者側は遊戯設備を設置しているだけにすぎず、客自身が勝手に遊戯設備を使用するという違いがあります。
②場合、その営業は全体的に風俗営業に該当するので5号営業の許可が必要になります。営業延長許容地域では午前1時まで、それ以外の地域では午前0時までしか営業できず、お店側が積極的に遊戯設備を使用して深夜に営業することはできません。
さらに②の場合は、いわゆる10%ルールも適用されない取り扱いになっていますので、客室床面積に対して遊戯設備設置面積が少ない場合でも5号営業許可が必要です。

営業できる場所
特定遊興飲食店営業は、営業できる場所が風営法及び都道府県条例で制限されていて、許可を受けることができる場所のことを「営業所設置許容地域」と呼びます。
兵庫県では次の地域で特定遊興飲食店営業の許可を受けることができます。
名称 | 地域 |
---|---|
三宮地区 | 神戸市中央区のうち 加納町3丁目並びに中山手通1丁目及び2丁目のうち市道長田楠日尾線以南の地域 加納町4丁目 下山手通1丁目及び2丁目 北長狭通1丁目及び2丁目 |
福原地区 | 神戸市兵庫区のうち 福原町 西上橘通1丁目及び2丁目 西橘通1丁目及び2丁目 西多聞通1丁目及び2丁目 |
神田新道地区 | 尼崎市のうち 昭和通4丁目及び5丁目 昭和南通4丁目及び5丁目 神田北通2丁目から4丁目まで 神田中通2丁目から4丁目まで 神田南通1丁目 |
魚町地区 | 姫路市のうち 坂元町 本町のうち国道2号以南及び市道城南29号線以西の地域 福中町 西二階町のうち市道城南29号線以西の地域 魚町 立町 塩町 十二所前町のうち市道幹第8号線以北の地域 |
兵庫県では「営業所設置許容地域」は第4種地域になっています。これは、風俗営業で午前1時まで営業をすることが許される「営業延長許容地域」と同じ地域です。
ただ、この「営業所設置許容地域」には1つ例外がありまして、特定遊興飲食店営業では「ホテル等内適合営業所」という規定が風営法で定められています。この「ホテル等内適合営業所」では営業所設置場所の制限は受けません。
次の1〜5までの要件すべてに適合する旅館・ホテル営業は営業所設置場所の制限なく特定遊興飲食店営業の許可を受けることができます。
保全対象施設
特定遊興飲食店営業許可の保全対象施設は、兵庫県では病院または有床診療所の敷地から30m以内の地域では許可を受けることができません。この点、風俗営業許可では、兵庫県の第4種地域で許可を受ける場合は病院や有床診療所は保全対象施設の対象外ですが、学校関係から30m以内では許可を受けることができないという違いがあります。
許可を受けることができない人
風俗営業許可と同様に特定遊興飲食店営業許可にも人的要件が定められています。特定遊興飲食店営業許可の欠格事由は、風俗営業許可の欠格事由を準用していて非常に読み難くなっています。以下は警察の手引で記載されている主な欠格事由の一例です。
どうしても欠格事由について詳しく知りたい方は、次の▶をクリックしてください。
欠格事由の詳細
第四条 公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
二 一年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
イ 第四十九条又は第五十条第一項の罪
ロ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十四条、第百七十五条、第百八十三条、第百八十五条、第百八十六条、第二百二十四条、第二百二十五条(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条、第二百二十六条の二(第三項については、営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の三、第二百二十七条第一項(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二又は第二百二十六条の三の罪を犯した者を幇ほう助する目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)若しくは第三項(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)又は第二百二十八条(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二、第二百二十六条の三又は第二百二十七条第一項若しくは第三項に係る部分に限る。)の罪
ハ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第三条第一項(第五号又は第六号に係る部分に限る。)又は第六条(第一項第二号に係る部分に限る。)の罪
ニ 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二章の罪
ホ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪
ヘ 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号)第二条から第六条までの罪
ト 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条、第百十八条第一項(同法第六条又は第五十六条に係る部分に限る。)又は第百十九条第一号(同法第六十一条又は第六十二条に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の規定により適用する場合を含む。)の罪
チ 船員法(昭和二十二年法律第百号)第百二十九条(同法第八十五条第一項又は第二項に係る部分に限る。)又は第百三十条(同法第八十六条第一項に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法の規定により適用する場合を含む。)の罪
リ 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条の罪
ヌ 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項又は第二項(同法第三十四条第一項第四号の三、第五号、第七号又は第九号に係る部分に限る。)の罪
ル 船員職業安定法第百十一条の罪
ヲ 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十三条の二第一項の罪
ワ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第五十八条の罪
カ 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)第百八条の罪
三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
四 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
五 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
六 第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
七 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
八 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該消滅又は返納の日から起算して五年を経過しないもの
九 第七号に規定する期間内に分割により同号の聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)又はこれらの法人の同号の公示の日前六十日以内に役員であつた者で当該分割の日から起算して五年を経過しないもの
十 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び次号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
十一 法人でその役員のうちに第一号から第九号までのいずれかに該当する者があるもの
営業時間の制限
特定遊興飲食店営業は、兵庫県では午前6時から午前10時までの間は営業することができません。
営業所の基準
特定遊興飲食店営業許可を受ける場合も、営業所内の構造及び設備の技術上の基準が設けられています。それぞれ詳しく説明していきます。
客室の床面積は1室の床面積33㎡以上が必要
特定遊興飲食店の場合は客室が1室の場合でも、客室の床面積が33㎡以上必要になります。
ラウンジやキャバクラなどの風俗営業許可では、客室が1室の場合は客室床面積の制限はありません。きちんと常識的な営業ができれば何㎡でも構いません。ただ、客室が2室以上ある場合は1室の床面積が16.5㎡以上必要になります。
この16.5㎡という広さは大体4m四方の広さですが、その客室には一組の特定少数の客しか入れなくなります。そうすると、その遊興行為は「接待行為」になってしまう可能性があるのでその客室の2倍、つまり1室33㎡は必要というわけです。
客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
これは風俗営業同様、おおむね1mを超える高さの衝立や仕切り、観葉植物、ソファなどの見通しを妨げる設備を設けることはNGです。
客室は、客室のどこに立っても客室全体が見通せるような構造になっていなければなりません。客室内が間仕切りで仕切られているような構造では、2室として申請しないといけない可能性もあります。
その場合、客室の1室は33㎡以上必要になり、もし33㎡に満たない場合はその客室は客室として使用できなくなります。ですので、客室として使用する部分がいくつもの間仕切りで仕切られた複雑な構造の店舗はできるだけ避けたほうが懸命です。
わいせつ及び反社会的な広告物等や設備を設けないこと
正確な条文は、「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと」です。
言いたいことはわかる文言ですが、具体的にはどのような広告物や設備が該当するのか?というと、以下の引用文のような広告や設備が該当します。
例えば、法に違反する行為を行っていることをうかがわせる広告、著しく射幸心をそそるおそれのある広告、男女の性交場面を写した広告、売春を行っている場所についての広告、性器を模した装飾、回転ベッド、振動ベッド等の設備をいう。
東京法令出版 逐条解説風営適正化法
上記のような広告や設備にかかわらず、一般常識で考えて不適切な広告や設備は営業所内に設置しないようにしましょう。
営業所外に直接通ずる客室の出入口以外の出入口には施錠の設備を設けないこと
これは、いわゆる風除室などの二重扉になっているような構造では、営業所外に直接出入りする扉や開閉設備以外の出入口には施錠の設備は設けられない、ということです。
余談ですが、以前弊所が風俗営業許可の依頼を受けた際に、警察での事前相談で客室から調理場やカウンター内に出入りする扉に施錠できる設備が設けられていることを報告すると、警察から施錠設備を撤去するよう指導を受けたことがあります。そのときはドアノブを外すよりもドアごと外した方が早かったのでドアごと撤去しました。
このように、設備に関しては所轄警察署や担当警察官によって違いが出てくる事柄なので、外部に直接出入りする開閉設備の他、事務室や管理室、トイレ以外にも施錠設備を設けるのであれば担当警察官に問い合わせた方がよいかもしれません。
営業所の照度を10ルクス以下にならないように維持すること
営業所内の照度は状態として10 ルクスを超えていなければなりません。風営法では照度の測定場所が定められていて、10ルクス以下の場合は特定遊興飲食店ではなく「低照度飲食店」の許可を受けることになります。(接待行為がある場合は社交飲食店)
照度を測定する場所は2つのパターンがあります。
- 客席以外の客室の部分において客に遊興をさせるための客室(当該客室内の客席の面積の合計が当該客室の面積の1/5以下であるものに限る)
- 1に掲げる客室以外の客室
客席とは?
客に飲食をさせるために設けられた食卓、椅子その他の設備及び当該設備を使用する客が通常利用する客室の部分をいいます。
1のパターンは、客に遊興をさせる客室内に飲食などができる客席は設けられていますが、客席の面積が極端に小さい場合や、飲食させる客席そのものがない場合です。ナイトクラブや深夜に営業するライブハウスがこれに該当します。
この場合、客室内に極端に小さい客席があれば、当該客席と客に遊興させる部分の双方が、客席がない場合は客席と同様の高さにおける客の通常利用する部分と客に遊興させる部分の双方が10ルクス超えでなければ「低照度飲食店営業」の規制を受けることになります。
2のパターンは、客席のみで客に遊興をさせる場合です。この場合は、客席のみ照度を測定します。深夜に不特定の客に対して応援させるスポーツバーなどがこれに該当します。
営業所周辺において、50db以上の騒音又は55db以上の騒音が生じないように維持すること(兵庫県の場合)
特定遊興飲食店営業は音楽や歓声、ダンスによる振動など防音設備は非常に大事です。店舗を新築する場合はハウスメーカーや工務店に防音設備についてしっかり打ち合わせし、賃貸の場合はナイトクラブやライブハウスに使用するために建築された物件を選ぶようにしてください。
必要書類
必要書類は風俗営業許可の規定が準用されていますので、必風俗営業許可と同じ書類を提出します。
上記の必要書類を正本1部、副本1部の計2部を作成し申請します。副本はコピーでOKです。
これまた余談ですが、弊所が初めて風俗営業許可の依頼を受けた際に、警察の手引では「申請書・添付書類 1通」と記載してあったので正本1部のみを作成して申請しましたが、担当警察官から「副本も必要ですよー。まだ時間あるので近くのコンビニでコピーしてきてくださいねー。」と言われ、約20枚もの書類をコンビニでコピーしたこともあります。笑
書類提出先は所轄警察署
申請書と添付書類は所轄警察署を経由して都道府県公安委員会に申請します。
申請までの流れは、①特定遊興飲食店をオープンすることについて所轄警察署に報告➜②飲食店営業許可申請➜③所轄警察署に事前相談➜④許可申請➜⑤営業所内の構造検査➜⑤許可証交付、となります。
申請手数料は24,000円です。現金で支払うのではなく兵庫県収入証紙で支払います。
まとめ
特定遊興飲食店営業は風俗営業と同じくらい複雑な申請手続きです。場合によっては1年前から出店準備にかからないとお店のオープンに間に合わない場合もあります。
弊所では開業準備から許可申請手続き、許可証受け取りまで253,000円からお引き受けします。特定遊興飲食店許可、風俗営業許可に関してお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
プロフィール

- 行政書士
- 平成23年度行政書士試験合格。10代の頃から建設業界で職人として働き、試験合格後も一人親方として現場で10年働き続け、令和4年5月に行政書士登録、 独立開業。初めて受任した業務が風俗営業1号許可申請。その後も風俗営業許可申請業務を多く経験し、現在は専門業務として活躍中。地元は灘のけんか祭りで有名な白浜地区。宇佐崎村で毎年祭りに参加。
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