【風俗営業許可】営業の方法の書き方

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前回は、風俗営業許可申請書の書き方や書くときのコツを詳しく説明しましたが、今回は「営業の方法」の書き方と書くときのコツを詳しく説明していきたいと思います。

営業の方法とは?

営業の方法とは、許可申請書と同じく法定の様式が用意されている重要な申請書類です

許可を受けようとしているお店の営業方法や営業内容を具体的に記載し、警察に申請書類として提出します。

営業の種別によって提出する営業の方法は以下のとおりです。

  • 1号営業〜3号営業➜営業の方法その1、その2(A)
  • 4号営業➜営業の方法その1、その2(B)
  • 5行営業➜営業の方法その1、その2(C)

営業の方法の書き方(その1)

営業の方法その1は、1号営業〜5号営業まで共通する様式になっているので、許可を受けようとしているお店の営業内容を具体的に記入していきましょう。

①営業所の名称

許可を受けようとしているお店の名称を記入します。

営業所の名称にアルファベットが入る場合は大文字・小文字、半角スペースなどに注意して、許可申請書に記入した営業所の名称と一致させましょう

※悪い例 許可申請書 Club 〇〇 営業の方法 club 〇〇(大文字・小文字の別)
※悪い例 許可申請書 Club 〇〇 営業の方法 Club〇〇(半角スペース)

②営業所の所在地

営業所の所在地も許可申請書と一致させ、かつ、所在は建物全部事項証明書と、建物の名称は賃貸借契約書などと一致させましょう

所在➜〇〇市〇〇町〇〇番地 建物の名称➜〇〇ビル◯階〇〇号室

③風俗営業の種別

風俗営業の種別とは、許可を受けようとしている営業の種別のことです

風俗営業の種別は以下のとおりです。

風俗営業の種別営業の種類店舗の例説明
1号営業キャバレー、料理屋、社交飲食店キャバクラ、クラブ、ラウンジなど客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
2号営業低照度飲食店照明の明るさが10ルクス以下のバー、喫茶店など照度が10ルクス以下の客席において客に飲食をさせる営業
3号営業区画席飲食店1つの客室が5㎡以下のネットカフェ、居酒屋、バーなど見通しが困難な客席(広さが5㎡以下のもの)において客に飲食させる営業
4号営業まーじゃん店、パチンコ店雀荘、パチスロ店など客に射幸心をそそるおそれのある遊戯をさせる営業
5号営業ゲームセンターゲームセンター、カジノバー、アミューズメントカジノスロットマシン、テレビゲーム機その他の遊戯設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊戯に用いいることができるものを備えて客に遊戯を指せる営業

許可を受けようとしているお店が、どの風俗営業の種別に該当するかよく調べて記入しましょう。

④営業時間

風俗営業は、風適法で深夜(午前0時から午前6時)に営業してはならないとされています。(風適法第13条)

ただし都道府県条例で特別の定めがある地域では営業時間を延長して営業することができます

兵庫県では、第4種地域においては午前1時(25時)まで特別に営業時間を延長することが許されます。

したがって、風俗営業は原則6時〜24時まで(都道府県条例によって違いがあります)の間しか営業することができないことになります。

パチンコ店(風適法施行令第8条に規定されるもの含む)は、兵庫県では午前10時〜午後11時までしか営業することができず、営業時間延長も許されていないので注意が必要です

パチンコ店も都道府県条例によって営業できる時間が異なるので、許可を受けようとしている都道府県条例をよく確認して記入してください。

⑤18歳未満の者を従業者として使用すること

従業員として18歳未満の者を使用するときはどのような業務に従事させるか具体的に記載しましょう

この場合、当然のことながら、18歳未満の者に客の接待をさせる業務は禁止されています

ここでいう客の接待をさせる業務とは、風適法で定義されている接待のことで客に接する業務とは別です

例えば、午後10時までなら調理室での皿洗いや店舗の清掃、会計時の受け渡しなどは18歳未満の者でもさせることはできますが、特定少数の客の近くで談笑の相手にさせたり、カラオケを一緒に歌うような行為は接待行為となり禁止されています

⑥18歳未満の者の立入禁止の表示方法

風俗営業では18 未満の者を営業所へ立ち入らせることは禁止されています

したがって、18歳未満の立入禁止表示をどこにどうやって表示するのか?ということを記入すればOKです

基本はわかりやすいように営業所の入口ドア付近に表示する方法が一般的です。

風適法22条1項5号括弧書きでは、5号営業(ゲームセンターなど)は、午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者の立入が禁止になっています。
そして、風適法13条1項で午前0時から午前6時までは風俗営業禁止になっています。
つまり、午後10時から午前0時までが5号営業において18歳未満の者の立ち入りが禁止されいるということになります。
また、都道府県条例によって時間は変わりますが、兵庫県では5号営業(ゲームセンターなど)は午後6時から午後10時前までは16歳未満の者でも保護者同伴なら入場OKになっています。

⑦飲食物の提供(酒類を除く)

酒類を除いた飲食物を提供するかしないか、提供する場合は飲食物の種類と提供の方法を記入します

酒類を除いた飲食物だけでも種類が多く欄に記入しきれない場合は、別紙に記入しても構いません

そして、この「提供の方法」ですが、客室テーブルに運んだり客が自ら取りに行くという物理的な提供方法の他にも、客の求め(客側の申し込み)に応じて提供するかどうかも文言として記入することになります

兵庫県の風適法施行条例7条1項3号では「客の求めない飲食物を提供しないこと」と規定されています。
近年のぼったくりバー増加による被害の影響や、風適法及び条例を遵守するという意味でも「客の求めに応じて提供する」という文言はとても大事な文言となります。

なお、飲食物を提供する場合は「飲食店営業許可」を受けることが必須になります

⑧酒類の提供

酒類の提供も上記(提供する飲食物の種類及び提供の方法)と同じですが、酒類の提供では20歳未満の者への酒類提供を防止する方法も必要になります

お酒の種類も多種多様なのでこの欄も別紙のとおりで構いませんが、20歳未満の者への酒類提供を防止する方法はできるだけ詳細に、具体的に記入してください

⑨当該営業所において他の営業を兼業すること

許可を受けようとしている営業所において、他に何か兼業していれば記入します。

ここで注意してほしいのは、同じ者が同一の営業所において異なる種別に係る許可を重ねて受けることは原則としてできません

また、風俗営業と性風俗関連特殊営業は、法上、全く異なる規制を受けるものなので、風俗営業許可を受けた者は、当該許可に係る営業所において性風俗関連特殊営業を営むことはできません

特定遊興飲食店営業と風俗営業も異なる規制を受けますが兼業できる場合もあります

深夜までは風俗営業をした後、風俗営業との継続性を完全に絶った上で深夜からは特定遊興飲食店営業に切り替えることもできますが、不正がないか警察が厳しい目を光らせていることになります

営業の方法その1はこれで終了です。続いて営業の方法その2(A)の記入に進みます。

営業の方法その2(A)

風俗営業許可申請では、1号営業〜3号営業までは営業の方法その1とその2(A)のみの提出でOKです。

営業の方法その2(a)記入例

⑩料金・料金の表示方法

風俗営業許可申請では、許可を受けようとしているお店のシステム料金表とメニュー表を添付書類として提出します

システム料金とはその名のとおりお店のシステムに関する料金で、セット料金や延長料金、同伴料金、ハウスボトル料などシステムすべてにかかる料金を記入します

また、メニュー表には実際にお店で提供される飲食物すべてを記入する必要があります

当然のことながら、メニュー表は原価ではなくお店で提供したときの実際の価格を記入してください。

料金欄は、システム料金表とメニュー表を添付書類として提出するので別紙のとおりで構いません。

続いて料金の表示方法欄ですが、システム料金表とメニュー表をどこに掲示し、口頭での説明の有無など、客に対してシステム料金とメニュー料金をどうやって伝えるのか?ということを明らかにして記入します

⑪役務提供の態様

1号営業〜3号営業は「接待飲食店等営業」と呼ばれ、営業の方法ではその「接待」の内容を具体的に説明します

客に対して女性スタッフはどのよう接待・サービスを行うのか、具体的に記入しましょう。

許可を受けようとしている方は、下の「接待の意義と定義」をよく読んでおいてください。

接待の意義と定義(風適法第2条第3項・風適法解釈運用基準第4)


風適法2条3項
接待とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう

風適法解釈運用基準
第4
1 接待の定義
 接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいう。
 この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに答えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。
2 接待の主体
 通常の場合、接待を行うのは、営業者やその雇用している者が多いが、それに限らず、料理店で芸者が接待する場合、旅館・ホテル等でバンケットクラブのホステスが接待する場合、営業者との明示又は黙示の契約・了解の下に客を装った者が接待する場合等を含み、女給、仲居、接待婦等その名称いかんを問うものではない。
3 接待の判断基準
(1)談笑・お酌等
 特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。
 これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。
(2) ショー等
 特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は接待に当たる。
 これに対して、ホテルのディナーショーのように不特定多数の客に対し、同時に、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為は、接待には当たらない。
(3) 歌唱等
 特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に歌う行為は、接待に当たる。
 これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、又は不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくは褒めはやす行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為等は、接待には当たらない。
(4)ダンス
 特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせる行為は接待に当たる。また、客の身体に接触しない場合であっても、特定少数の客の近くに位置し、継続して、その客と一緒に踊る行為は、接待に当たる。ただし、ダンスを教授する十分な能力を有する者が、ダンスの技能及び知識を修得させることを目的として客にダンスを教授する行為は、接待には当たらない。
(5) 遊戯等
 特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たる。これに対して、客一人で又は客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為は、直ちに接待に当たるとはいえない。
(6) その他
 客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触等は、接待に当たらない。
 また、客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、コート等を預かる行為等は、接待に当たらない。

⑫客の接待をする場合は接待を行う者の区分

この欄はお店に直接雇用されているものの人数を記入します

それ以外の者とは、派遣会社からキャストやホステスに応援に来てもらう場合は、その派遣元の名称及び住所を記入し、派遣会社が法人の場合は代表者の氏名を記入します

⑬客に遊興をさせる場合はその内容及び時間帯

接待飲食等営業でも午前0時までなら客に遊興をさせることができます

不特定の客にショーやダンス、ゲーム大会などをさせることを遊興させると言います。

なお、午前0時以降に客に酒類などの飲食物を提供し、遊興させる場合は「特定遊興飲食店営業」の許可が必要になります。

遊興についての意義・定義は下の▼をクリックしてください。

遊興させるの意義(風適法解釈運用基準)

風適法解釈運用基準
第10
2 遊興させるの意義
(1)「遊興をさせる」とは、文字どおり遊び興じさせることであるが、特定遊興飲食店営業として規制対象となるのは、営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせる場合である。
  客に遊興をさせるためのサービスとしては、主として、ショーや演奏の類を客に見聴きさせる鑑賞型のサービスと、客に遊戯、ゲーム等を行わせる参加型のサービスが考えられる。
ア  鑑賞型のサービスについては、ショー等を鑑賞するよう客に勧める行為、実演者が客の反応に対応し得る状態で演奏・演技を行う行為等は、積極的な行為に当たる。
  これに対して、単にテレビの映像や録音された音楽を流すような場合は、積極的な行為には当たらない。
イ 参加型のサービスについては、遊戯等を行うよう客に勧める行為、遊戯等を盛り上げるための言動や演出を行う行為等は、積極的な行為に当たる。
  参加型のサービスについては、遊戯等を行うよう客に勧める行為、遊戯等を盛り上げるための言動や演出を行う行為等は、積極的な行為に当たる。
(2)具体的には、例えば、次に掲げる行為が「客に遊興をさせる」ことに当たる。
 ① 不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為
 ② 不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為
 ③ 客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為
 ④ のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為
 ⑤ カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為
 ⑥ バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為
(3)これに対して、例えば、次に掲げる行為で上記(2)の行為に該当しないものは、「客に遊興をさせる」ことには当たらない。
 ① いわゆるカラオケボックスで不特定の客にカラオケ装置を使用させる行為
 ② カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客が自分から歌うことを要望した場合に、マイクや歌詞カードを手渡し、又はカラオケ装置を作動させる行為
 ③ いわゆるガールズバー、メイドカフェ等で、客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりせずに、単に飲食物の提供のみを行う行為
 ④ ボーリングやビリヤードの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる行為
 ⑤ バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為(客自身が応援等を行う場合を含む。)
 

⑭客室

1号営業のみ客室数を記入します。

1号営業は、客室について和風とその他の別、また、客室が2室以上ある場合は、和風の客室については床面積が9,5㎡以上、その他の客室については165,㎡以上と定められているので、その把握という意味でも1号営業のみ、営業の方法に客室数を記入させようということなのでしょう。

さて、ここまで書き終えれば営業の方法は完成です。

まとめ

ここまで営業の方法の書き方について詳しく説明してしてきましたが、4号営業や5号営業では、また違った様式の営業の方法に記入しないといけません

風俗営業は許可制という性質上、風適法や関係法令、都道府県条例に反する営業はできないことから、営業の方法で許可を受けようとしているお店の透明性と健全性を明らかにさせようとしているのでしょう

弊所では、許可を受けようとしているお店に合った営業の方法を作成することができます

また、営業の方法に限らず、風俗営業許可や飲食店営業許可に関する許可全般についての相談業務も承っております。

許可について気になることがあればお気軽にご相談ください

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

プロフィール

Tatsuki Kumano
Tatsuki Kumano行政書士
平成23年度行政書士試験合格。10代の頃から建設業界で職人として働き、試験合格後も一人親方として現場で10年働き続け、令和4年5月に行政書士登録、 独立開業。初めて受任した業務が風俗営業1号許可申請。その後も風俗営業許可申請業務を多く経験し、現在は専門業務として活躍中。地元は灘のけんか祭りで有名な白浜地区。宇佐崎村で毎年祭りに参加。

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