【風営法】営業地域や種類による営業時間の違いは?

営業時間

弊所はよくご依頼いただいたお客様のお店に飲みに行ったりするのですが、お邪魔する時間が遅いとラストまでお店にいるときがあります。

そろそそ閉店時間だし、お暇しようと会計も済ませて席を立つのですが、奥のボックス席ではまだまだ盛り上がって帰る気配のないお客さんもいます。

風俗営業許可をメインに取り扱う行政書士という職業柄なのか「このまま営業を続けたら風営法違反になってまうで・・・。」と心配していると、オーナーがまだ盛り上がっているお客さんに「そろそろお店閉めますんで!」と強引にお客さんを帰らせようとしていました笑。さすがです。

この記事をご覧になっている皆さんは風俗営業店の営業が許される時間はご存知ですか?もし知らずにお客さんが帰るまでズルズルとお店を営業していると同業者や客から通報が入り風営法違反で指導や摘発となってしまう可能性もあります

そこでこの記事では風営法や都道府県条例による風俗営業店の営業が許される時間を詳しく説明していきたいと思います。

深夜(午前0時から午前6時まで)は営業できない

風営法第13条第1項では「風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。)においては、その営業を営んではならない。」と規定されています。

ですので、風営法では午前0時にはお店を閉めて、翌朝の午前6時からお店を開けてもよいことになります。

ただ、この風営法第13条第1項にはただし書きがあり、営業時間の延長について条例委任されています。風営法の条例委任とは簡単に言うと、都道府県の地域の実情に合わせて都道府県の条例で細かく決めてね。でも法令に違反しないようにしてね。ということです。

営業時間にかかわらず、現行風営法(風俗営業適正化法)の多くの規定が条例委任されていますが、これは元々の風営法(旧風俗営業取締法)が都道府県条例によって風俗営業に関する制限を定めてきたからです。

そして、条例では風俗営業の営業時間を延長できる日が2つ規定されています。次から詳しく説明していきます。

風俗営業の営業時間の延長

営業時間の延長できる日については都道府県の条例によって2つのパターンがあります。延長できる時間は午前1時までです

  1. 都道府県が習俗的行事その他の特別な事情のある日として当該条例で定める日(第13条第1項第1号)
  2. 前号に掲げる日以外の日(同条同号2号)

上記1に該当する日は、兵庫県では12月21日から翌年1月5日までは県内全域で大阪府では12月25日から翌年1月5日までは府の区域で午前1時まで営業することができます。

2に該当する日は原則1年中午前1時まで営業を延長することができます。風営法第13条1項2号では、

午前零時以降において風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い当該条例で定める地域

と規定さています。

そして風営施行令では、その条例で定める地域の基準を定めています。長いので条文を見たい方は▶をクリックしてください。

(法第十三条第一項第二号の政令で定める基準)

第九条 法第十三条第一項第二号の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 午前零時以後において風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域(以下「営業延長許容地域」という。)の指定は、次のいずれにも該当する地域内の地域について行うこと。
イ 店舗が多数集合しており、かつ、風俗営業、遊興飲食店営業(設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る。)をいい、風俗営業に該当するものを除く。)並びに深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)において営まれる酒類提供飲食店営業(法第二条第十三項第四号に規定する酒類提供飲食店営業をいう。第二十七条において同じ。)及び興行場営業(興行場法第一条第二項に規定する興行場営業をいう。)の営業所が一平方キロメートルにつきおおむね三百箇所以上の割合で設置されている地域(第二十二条第一号イ(1)及びロ(3)において「風俗営業等密集地域」という。)であること。
ロ 次に掲げる地域でないこと。
(1) 住居集合地域
(2) 住居集合地域以外の地域のうち、住居の用に併せて商業又は工業の用に供されている地域で、住居が相当数集合しているため、深夜における当該地域の風俗環境の保全につき特に配慮を必要とするもの
(3) (1)又は(2)に掲げる地域に隣接する地域(幹線道路の各側端から外側おおむね五十メートルを限度とする区域内の地域を除く。)
二 営業延長許容地域の指定及びその変更は、風俗営業の種類、営業の態様その他の事情に応じて良好な風俗環境の保全に障害を及ぼすこととならないよう配慮するとともに、当該地域における法第四十四条第一項の規定による風俗営業者の団体の届出の有無及び当該団体が関係風俗営業者に対して行う営業時間の制限その他の事項に関する法又は法に基づく命令若しくは条例の規定の遵守のための自主的な活動にも配意すること。

風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律施行令 第九条

簡単にいいますと、

  1. 歓楽街であること(風俗営業等密集地)
  2. 住宅集合地域でないこと
  3. 住宅集合地域ではないが、深夜においてその地域の風俗環境について配慮が必要な地域でないこと
  4. 2と3の地域に隣接する地域でないこと(隣接していても幹線道路から外側50mまではOK)

という基準に適合する場合は午前1時まで営業を延長できますよ、ということです。

上記の基準を前提として兵庫県の条例と大阪府の条例では、次の地域では原則1年中午前1時まで風俗営業の営業時間を延長することが許されます。

風俗営業適正化法施行条例別表第1(兵庫県)
名称地域
三宮地区神戸市中央区のうち
加納町3丁目並びに中山手通1丁目及び2丁目のうち市道長田楠日尾線以南の地域 加納町4丁目 下山手通1丁目及び2丁目 北長狭通1丁目及び2丁目
福原地区神戸市兵庫区のうち
福原町 西上橘通1丁目及び2丁目 西橘通1丁目及び2丁目 西多聞通1丁目及び2丁目
神田新道地区尼崎市のうち
昭和通4丁目及び5丁目 昭和南通4丁目及び5丁目 神田北通2丁目から4丁目まで 神田中通2丁目から4丁目まで 神田南通1丁目
魚町地区姫路市のうち
坂元町 本町のうち国道2号以南及び市道城南29号線以西の地域 福中町 西二階町のうち市道城南29号線以西の地域 魚町 立町 塩町 十二所前町のうち市道幹第8号線以北の地域
風俗営業適正化法施行条例別表第4(大阪府)
区分地域
大阪市北区梅田一丁目(1番から3番まで及び11番に限る。)、角田町(1番及び5番から7番までに限る。)、神山町(2番から10番までに限る。)、小松原町、曾根崎一丁目、曾根崎二丁目、曾根崎新地一丁目、太融寺町、兎我野町、堂島一丁目、堂島浜一丁目、堂山町(1番から13番まで、16番及び17番に限る。)及び西天満六丁目の区域
大阪市中央区心斎橋筋一丁目、心斎橋筋二丁目、千日前一丁目、千日前二丁目、宗右衛門町、道頓(画像)堀一丁目(1番から10番までに限る。)、道頓(画像)堀二丁目、難波一丁目、難波二丁目、難波三丁目、難波四丁目、難波千日前(1番から3番まで及び10番から13番までに限る。)、西心斎橋一丁目、西心斎橋二丁目、日本橋一丁目(2番、3番及び18番から20番までに限る。)、日本橋二丁目(5番に限る。)、東心斎橋一丁目及び東心斎橋二丁目の区域

これらの地域は「営業延長許容地域」といわれます。

営業時間ここまでのまとめ

  • 風俗営業の営業時間は午前6時〜午前0時まで
  • 年末年始は兵庫県では県内全域で、大阪府では府の区域で午前1時まで
  • 営業延長許容地域では1年中午前1時まで

となります。

パチンコ店等の営業時間の制限

ここまでは風俗営業の営業時間を延長できる日と地域を説明してきましたが、残念ながらパチンコ店等は営業延長許容地域内に存在していても年末年始でも営業時間の延長は許されません

さらに営業開始時間にも制限がかけられます

都道府県名営業禁止時間
兵庫県午前6時〜午前10時まで及び午後11時〜午前0時前まで
大阪府

午前0時以降は風俗営業自体が営業禁止なのでパチンコ店等の具体的な営業時間は午前10時〜午後11時までとなります。(兵庫県と大阪府の場合)

パチンコ店等に関しては遊技機規制や出玉規制など他の風俗営業に比べると風営法でかなり厳しく規制されていますねー。

ゲームセンターの営業時間の制限

パチンコ店等ほど厳しくありませんが、ゲームセンターにも営業時間の制限が存在します。ゲームセンターは営業延長許容地域に存在していたとしても午前1時までの営業時間延長が許されません。(兵庫県の場合)

兵庫県の条例では営業延長許容地域から5号営業(ゲームセンター)は適用されないことになっています。なお、大阪府ではそのような条例の規定はありませんので営業延長許容地域では午前1時までゲームセンターも営業できます。

ですので、ゲームセンターの営業時間に関しては、営業延長許容地域であっても許される営業時間は風俗営業の原則どおり午前6時から午前0時前までとなります。

18歳未満の者の立入禁止

営業時間とは関係ありませんが、参考までに18歳未満の者の営業所への立ち入り禁止も説明したいと思います。

風俗営業は18歳未満の者の立ち入りが禁止されています。ですので営業所への入り口には18歳未満の者への立ち入り禁止をわかりやすく掲示しないといけません。

この点ゲームセンターでは18歳未満の者でも立ち入りは禁止されていないのです。とはいうものの風営法では午後10時以降は18歳未満は立ち入りが禁止になっています。

ゲームセンターの場合、ゲームバーやアミューズメントカジノなどとは違い比較的若年層向けのゲームも充実していて風営法の規制にかからないゲームも設置されています。(プリクラや占いゲーム、UFOキャッチャー、ストラックアウトなど)

一昔前はゲームセンターのイメージは不良の溜まり場でしたが、最近では家族で利用する全体的に健全なアミューズメント施設としての色が濃くなってきています。

ですので条例でも保護者同伴であれば、兵庫県の場合は午後6時から午後10時前、大阪府の場合は午後7時から午後10時前までは16歳未満でも入店できます。

風俗営業の営業時間まとめ

風俗営業の種別営業時間営業時間(営業延長許容地域)18歳未満の者の立ち入り
1号営業(社交飲食店)午前6時〜午前0時まで午前6時〜午前1時まで立ち入り禁止
2号営業(低照度飲食店)
3号営業(区画席飲食店)
4号営業(麻雀店)
4号営業(パチンコ店)午前10時〜午後11時まで午前10時〜午後11時まで
5号営業(ゲームセンター)午前6時〜午前0時まで午前6時〜午前0時まで午後10時〜午前0時まで

まとめ

このように風俗営業の営業時間は営業の種別や地域によって営業時間が変わってきます。ただ、基本は午前0時から午前6時までは営業禁止いうのを覚えておけば間違いありません。

また、風俗営業とは種類が異なりますが特定遊興飲食店営業や心深夜酒類提供飲食店営業も風俗営業とはまったく違った営業時間となりますので注意が必要です。。

弊所は風俗営業許可を専門にしている行政書士です。風俗営業のことでご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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プロフィール

Tatsuki Kumano
Tatsuki Kumano行政書士
平成23年度行政書士試験合格。10代の頃から建設業界で職人として働き、試験合格後も一人親方として現場で10年働き続け、令和4年5月に行政書士登録、 独立開業。初めて受任した業務が風俗営業1号許可申請。その後も風俗営業許可申請業務を多く経験し、現在は専門業務として活躍中。地元は灘のけんか祭りで有名な白浜地区。宇佐崎村で毎年祭りに参加。