風俗営業許可を取れない人とは?改正風営法の欠格事由・不許可事由一覧

風俗営業許可を取得するためには、その前提として3つの要件をクリアしないといけないということをご存じの方も多いのではないのでしょうか。
「場所的要件」、「人的要件」、「構造的要件」がその3要件ですね。このうち「人的要件」とは風営法第4条第1項各号に規定する事由に1つでも該当してしまうと風俗営業許可を受けることができなくなってしまう要件のことです。
この1つでも該当してしまうと風俗営業許可を受けることができなくなってしまう事由のことを「欠格事由」や「不許可事由」と言います。
令和7年5月に風営法も改正され、新たな欠格事由も追加されました。しかしこの風営法第4条第1項各号の欠格事由なのですが、他の法律の「第◯条第◯項の罪」というような書き方なので非常に読みづらくなっています。
そこでこの記事では、私自身もう一度勉強し直す意味も含め、改正された風営法における欠格事由について詳しく説明していきたいと思います。
目次
- 1 欠格事由の概要
- 2 風営法第4条第1項第2号の欠格事由
- 2.1 イ 風営法第四十九条、第五十条又は第五十一条第一項の罪
- 2.2 ロ 刑法に規定されている特定の罪
- 2.3 ハ 組織的犯罪処罰法第三条第一項、第六条の罪
- 2.4 ニ 売春防止法第二章の罪
- 2.5 ホ 児童ポルノ禁止法第四条から第八条までの罪
- 2.6 ヘ 性的姿態撮影等処罰法
- 2.7 ト 労働基準法に規定されている特定の罪
- 2.8 チ 船員法第百二十九条、第百三十条の罪
- 2.9 リ 職業安定法第六十三条の罪
- 2.10 ヌ 児童福祉法第六十条第一項又は第二項の罪
- 2.11 ル 船員職業安定法第百十一条の罪
- 2.12 ヲ 出入国管理及び難民認定法第七十三条の二第一項の罪
- 2.13 ワ 労働者派遣法第第五十八条の罪
- 2.14 カ 外国人技能実習法第百八条の罪
- 3 風営法第4条第1項第3号の欠格事由
- 4 風営法第4条第1項第5号の欠格事由
- 5 風営法改正によって新設された欠格事由
- 6 まとめ
欠格事由の概要
繰り返しになりますが、この欠格事由に1つでも該当してしまうと風俗営業許可を受けることができなくなってしまいます。
ではどのような事由に該当すれば許可を受けることができないのか?ということですが、この点については警察署の風俗営業許可の申請についての手引にわかりやすいように簡略して説明されています。
例えば、兵庫県警の風俗営業許可申請の手引では次のように説明されています。
許可を受けることができない人
- 破産手続開始を受けて復権を得ない者(風営法第4条第1項第1号)
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は無許可風俗営業の特定の違反で1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行をくけることがなくなった日から5年を経過しない者(風営法第4条第1項第2号)
- 集団的、常習的に暴力的不良行為を行うおそれの者(風営法第4条第1項第3号)
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者(風営法第4条第1項第4号)
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者(風営法第4条第1項第5号)
- 風俗営業許可を取り消されて5年を経過しない者(風営法第4条第1項第6項) など
※令和7年6月現在の手引ですが、法律が改正され風営法においても現在は懲役や禁錮ではなく拘禁刑となっています。
かっこ内はわかりやすいように弊所が付け加えています。
風営法第4条第1項第2号
一年以上の拘禁刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の拘禁刑若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
簡略化されていて、とてもわかりやすいようになっています。しかし具体的にどのような罪で1年以上の拘禁刑に処せられ、または一年未満の拘禁刑若しくは罰金の刑に処せられた者なのかがわからないですよね。
これに関しては風営法に具体的に規定されていますが、これまた非常に読みづらくわかりにくくなっています。 下の▶をクリックまたはタップしてみてください。
風営法第4条第1項第2号(許可の基準)
二 一年以上の拘禁刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の拘禁刑若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者
イ 第四十九条、第五十条又は第五十一条第一項の罪
ロ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十四条、第百七十五条、第百八十三条、第百八十五条、第百八十六条、第二百二十四条、第二百二十五条(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条、第二百二十六条の二(第三項については、営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の三、第二百二十七条第一項(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二又は第二百二十六条の三の罪を犯した者を幇ほう助する目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)若しくは第三項(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)又は第二百二十八条(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二、第二百二十六条の三又は第二百二十七条第一項若しくは第三項に係る部分に限る。)の罪
ハ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第三条第一項(第五号又は第六号に係る部分に限る。)又は第六条(第一項第二号に係る部分に限る。)の罪
ニ 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二章の罪
ホ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪
ヘ 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号)第二条から第六条までの罪
ト 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条、第百十八条第一項(同法第六条又は第五十六条に係る部分に限る。)又は第百十九条第一号(同法第六十一条又は第六十二条に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の規定により適用する場合を含む。)の罪
チ 船員法(昭和二十二年法律第百号)第百二十九条(同法第八十五条第一項又は第二項に係る部分に限る。)又は第百三十条(同法第八十六条第一項に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法の規定により適用する場合を含む。)の罪
リ 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条の罪
ヌ 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項又は第二項(同法第三十四条第一項第四号の三、第五号、第七号又は第九号に係る部分に限る。)の罪
ル 船員職業安定法第百十一条の罪
ヲ 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十三条の二第一項の罪
ワ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第五十八条の罪
カ 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)第百八条の罪
風営法では第4条第1項各号で人的欠要件を、第2項で構造的要件と場所的要件が規定されています。
この記事では上記手引きの2、3、5と新設された欠格事由について詳しく説明していきたいと思います。
風営法第4条第1項第2号の欠格事由
風営法第4条第1項第2号では特定の罪で「1年以上の拘禁刑に処せられ、または一年未満の拘禁刑若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者」は風俗営業許可の申請において許可を受けることができません。
イ 風営法第四十九条、第五十条又は第五十一条第一項の罪
この部分は令和7年5月の風営法改正において改正された条文になります。
改正前 | 改正後 |
---|---|
第四十九条又は第五十条第一項の罪 | 第四十九条、第五十条又は第五十一条第一項の罪 |
風営法第49条、第50条、第51条は風営法違反の罰則規定です。
【風営法第49条】
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 風俗営業の無許可営業
- 偽りその他不正の手段により風俗営業許可、相続の承認、法人の合併・分割の承認を受けたとき
- 名義貸しをしたとき
- ・風俗営業許可の取り消し、又は営業停止命令違反、風営法に基づく飲食店営業の営業停止命令違反
・店舗型性風俗特殊営業に対する営業停止命令違反、営業廃止命令違反、風営法に基づく浴場業営業、興行場営業、旅館業、住宅宿泊事業の営業停止命令違反
・無店舗型性風俗特殊営業に対する営業停止命令違反、受付所の営業廃止命令違反
・処分移送に係る無店舗型性風俗特殊営業に対する営業停止命令違反、受付所の営業廃止命令違反 - 店舗型性風俗特殊営業(無店舗型性風俗特殊営業の受付所含む)が営業禁止区域内で営業したとき
- 店舗型性風俗特殊営業(無店舗型性風俗特殊営業の受付所含む)が営業禁止地域内で営業したとき
【風営法第50条】
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 店舗型電話異性紹介営業を営業禁止区域内で営業したとき
- 店舗型電話異性紹介営業を営業禁止地域内で営業したとき
- ・店舗型電話異性紹介営業に対する営業停止命令違反、営業廃止命令違反
・無店舗型電話異性紹介営業に対する営業停止命令違反、営業廃止命令違反
・処分移送に係る無店舗型電話異性紹介営業に対する営業停止命令違反
・特定遊興飲食店営業に対する営業停止命令違反、風営法に基づく飲食店営業の営業停止命令違反
・風営法に基づく飲食店営業者に対する公安委員会の営業停止命令違反
・興行場営業に対する営業停止命令違反
・特定性風俗物品販売等営業に対する営業停止命令違反
・接客業務受託営業に対する営業停止命令違反
・処分移送に係る接客業務受託営業に対する営業停止命令違反 - 特定遊興飲食店営業の無許可営業
- 偽りその他不正の手段により特定遊興飲食店営業許可、相続の承認、法人の合併・分割の承認を受けたとき
- 特定遊興飲食店営業許可の名義貸し
【風営法第51条】
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 営業所の構造および設備の無承認変更、遊技機の無承認変更
- 偽りその他不正の手段により変更の承認を受けたとき
- 偽りその他不正の手段により特例風俗営業者又は特例特定遊興飲食店営業者の認定を受けたとき
- 風俗営業者、特定遊興飲食店営業者、深夜酒類提供飲食店営業者が営業所で十八歳未満の者に客の接待をさせたとき
- 店舗型性風俗特殊営業を営む者(無店舗型性風俗特殊営業の受付所含む)が営業所で十八歳未満の者を客に接する業務に従事させ又は十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせ若しくは営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供したとき
- 無店舗型性風俗特殊営業を営む者が十八歳未満の者を客に接する業務に従事させたとき
- ・公安委員会の映像送信型性風俗特殊営業を営む者に対する年少者の利用防止のための命令に違反したとき
・処分移送に係る公安委員会の映像送信型性風俗特殊営業を営む者に対する年少者の利用防止のための命令に違反したとき - ・店舗型電話異性紹介営業を営む者が営業所で十八歳未満の者を客に接する業務に従事させたとき
・店舗型電話異性紹介営業を営む者が十八歳未満の従業者を会話の当事者にさせたとき
・店舗型電話異性紹介営業を営む者が十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせたとき
・店舗型電話異性紹介営業を営む者が営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供したとき - 無店舗型電話異性紹介営業を営む者が十八歳未満の従業者を会話の当事者にさせたとき
- 営業禁止地域において深夜酒類提供飲食店営業を営んだとき
参考:風営法(改正前の条文です)
以上が風営法に規定されている罰則に基づく第4条第1項第2号イの欠格事由になります。
ロ 刑法に規定されている特定の罪
風営法第4条第1項第2号ロは、刑法に規定されている特定の罪で「一年以上の拘禁刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して一年未満の拘禁刑若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者」は風俗営業許可を受けることはできません。
【風営法第4条第1項第2号ロ】
刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十四条、第百七十五条、第百八十三条、第百八十五条、第百八十六条、第二百二十四条、第二百二十五条(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条、第二百二十六条の二(第三項については、営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の三、第二百二十七条第一項(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二又は第二百二十六条の三の罪を犯した者を幇ほう助する目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)若しくは第三項(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)又は第二百二十八条(同法第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十六条、第二百二十六条の二、第二百二十六条の三又は第二百二十七条第一項若しくは第三項に係る部分に限る。)の罪
【刑法】
- 第百七十四条(公然わいせつ)
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 - 第百七十五条 (わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は拘禁刑及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。 - 第百八十三条(淫行勧誘)
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦かん淫させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。 - 第百八十五条(賭博)
賭と博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭かけたにとどまるときは、この限りでない。 - 第百八十六条(常習賭博及び賭博場開張等図利)
常習として賭博をした者は、三年以下の拘禁刑に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。 - 第二百二十四条(未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。 - 第二百二十五条(営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。 - 第二百二十六条(所在国外移送目的略取及び誘拐)
所在国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。 - 第二百二十六条の二(人身売買)
人を買い受けた者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
2 未成年者を買い受けた者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
3 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。4 人を売り渡した者も、前項と同様とする。
5 所在国外に移送する目的で、人を売買した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。 - 第二百二十六条の三(被略取者等所在国外移送)
略取され、誘拐され、又は売買された者を所在国外に移送した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。 - 第二百二十七条(被略取者引渡し等)
第一項 第二百二十四条(未成年者略取及び誘拐)、第二百二十五条(営利目的等略取及び誘拐)又は前三条(所在国外移送目的略取及び誘拐)、(人身売買)、(被略取者等所在国外移送)の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
第三項 営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、又は蔵匿した者は、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。 - 第二百二十八条(未遂罪)
第二百二十四条(未成年者略取及び誘拐)、第二百二十五条(営利目的等略取及び誘拐)、第二百二十五条の二第一項(身の代金目的略取等)、第二百二十六条(所在国外移送目的略取及び誘拐)から第二百二十六条の三(人身売買)(被略取者等所在国外移送)まで並びに前条第一項から第三項まで及び第四項前段の罪の未遂は、罰する。
参考:刑法
刑法第174条(公然わいせつ)、第175条(わいせつ物頒布等)、第183条(淫行勧誘)、第185条(賭博)、第186条(常習賭博及び賭博場開張等図利)、第224条(未成年者略取及び誘拐)、第225条(営利目的等略取及び誘拐)については、営利又はわいせつの目的に係る部分に限ります。
刑法第226条の2(人身売買)第3項については営利又はわいせつの目的に係る部分に限ります。
刑法第224条(未成年者略取及び誘拐)、第225条(営利目的等略取及び誘拐)、第226条(所在国外移送目的略取及び誘拐)、第226条の2(人身売買)又は第226条の3(被略取者等所在国外移送)、第227条第1項(被略取者引渡し等)の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限ります。
刑法第227条第3項(被略取者引渡し等)については営利又はわいせつの目的に係る部分に限ります。
刑法第228条(未遂罪)については刑法第224条(未成年者略取及び誘拐)、第225条(営利目的等略取及び誘拐)、第226条(所在国外移送目的略取及び誘拐)、第226条の2(人身売買)、第226条の3(被略取者等所在国外移送)又は第227条(被略取者引渡し等)第1項、第3項に係る部分に限ります。
ハ 組織的犯罪処罰法第三条第一項、第六条の罪
法律の正式な名称は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」と言います。
組織的犯罪処罰法はその名のとおり暴力団や反社会組織などの組織的な犯罪、団体による犯罪などを取り締る法律で、一般方の刑法に対する特別法です。
風営法の欠格事由になるのは組織的犯罪処罰法第3条第1項と第6条が該当します。
【風営法第4条第1項第2号ハ】
ハ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第三条第一項(第五号又は第六号に係る部分に限る。)又は第六条(第一項第二号に係る部分に限る。)の罪
【組織的犯罪処罰法第3条】
(組織的な殺人等)
第1項 次の各号に掲げる罪に当たる行為が、団体の活動(団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。以下同じ。)として、当該罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、当該各号に定める刑に処する。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十六条(封印等破棄)の罪 五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
二 刑法第九十六条の二(強制執行妨害目的財産損壊等)の罪 五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
三 刑法第九十六条の三(強制執行行為妨害等)の罪 五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
四 刑法第九十六条の四(強制執行関係売却妨害)の罪 五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科
五 刑法第百八十六条第一項(常習賭博)の罪 五年以下の拘禁刑
六 刑法第百八十六条第二項(賭博場開張等図利)の罪 三月以上七年以下の拘禁刑
七 刑法第百九十九条(殺人)の罪 死刑又は無期若しくは六年以上の拘禁刑
八 刑法第二百二十条(逮捕及び監禁)の罪 三月以上十年以下の拘禁刑
九 刑法第二百二十三条第一項又は第二項(強要)の罪 五年以下の拘禁刑
十 刑法第二百二十五条の二(身の代金目的略取等)の罪 無期又は五年以上の拘禁刑
十一 刑法第二百三十三条(信用毀損及び業務妨害)の罪 五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金
十二 刑法第二百三十四条(威力業務妨害)の罪 五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金
十三 刑法第二百四十六条(詐欺)の罪 一年以上の有期拘禁刑
十四 刑法第二百四十九条(恐喝)の罪 一年以上の有期拘禁刑
十五 刑法第二百六十条前段(建造物等損壊)の罪 七年以下の拘禁刑
【組織的犯罪処罰法第6条】
(組織的な殺人等の予備)
第1項 次の各号に掲げる罪で、これに当たる行為が、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものを犯す目的で、その予備をした者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 刑法第百九十九条(殺人)の罪 五年以下の拘禁刑
二 刑法第二百二十五条(営利目的等略取及び誘拐)の罪(営利の目的によるものに限る。) 二年以下の拘禁刑
2 第三条第二項に規定する目的で、前項各号に掲げる罪の予備をした者も、同項と同様とする。
参考:組織的犯罪処罰法
このうち風営法で欠格事由に該当するのは、組織的犯罪処罰法第3条第1項の第5号(常習賭博)、第6号(賭博場開張等図利)に係る部分のみが該当し、第6条では第1項第2号(営利目的等略取及び誘拐)に係る部分のみが該当します。
ニ 売春防止法第二章の罪
売春とは、「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」をいいます。悪徳ホストクラブや性風俗特殊営業では度々この売春が問題になっています。
【風営法第4条第1項第2号ニ】
ニ 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二章の罪
【売春防止法】
第二章 刑事処分
(勧誘等)
第五条 売春をする目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は二万円以下の罰金に処する。
一 公衆の目に触れるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 公衆の目に触れるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(周旋等)
第六条 売春の周旋をした者は、二年以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金に処する。
2 売春の周旋をする目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者の処罰も、前項と同様とする。
一 人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(困惑等による売春)
第七条 人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
2 人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春をさせた者は、三年以下の拘禁刑又は三年以下の拘禁刑及び十万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
(対償と収受等)
第八条 前条第一項又は第二項の罪を犯した者が、その売春の対償の全部若しくは一部を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、五年以下の拘禁刑及び二十万円以下の罰金に処する。
2 売春をした者に対し、親族関係による影響力を利用して、売春の対償の全部又は一部の提供を要求した者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
(前貸等)
第九条 売春をさせる目的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与した者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
(売春をさせる契約)
第十条 人に売春をさせることを内容とする契約をした者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
(場所の提供)
第十一条 情を知つて、売春を行う場所を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
2 売春を行う場所を提供することを業とした者は、七年以下の拘禁刑及び三十万円以下の罰金に処する。
(売春をさせる業)
第十二条 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の拘禁刑及び三十万円以下の罰金に処する。
(資金等の提供)
第十三条 情を知つて、第十一条第二項の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、五年以下の拘禁刑及び二十万円以下の罰金に処する。
2 情を知つて、前条の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、七年以下の拘禁刑及び三十万円以下の罰金に処する。
(両罰)
第十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第九条から前条までの罪を犯したときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
(併科)
第十五条 第六条、第七条第一項、第八条第二項、第九条、第十条又は第十一条第一項の罪を犯した者に対しては、拘禁刑及び罰金を併科することができる。第七条第一項に係る同条第三項の罪を犯した者に対しても、同様とする。
(刑の執行の特例)
第十六条 第五条の罪を犯した者に対し、その罪のみについて拘禁刑の言渡しをするときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十五条第二項ただし書の規定を適用しない。同法第五十四条第一項の規定により第五条の罪の刑によつて拘禁刑の言渡しをするときも、同様とする。
参考:売春防止法
ホ 児童ポルノ禁止法第四条から第八条までの罪
児童ポルノ禁止法の正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます。
この法律において「児童」とは18際に満たない者のことを「児童」と定義されています。児童と聞くと小学生くらいの年齢をイメージしがちですが児童ポルノ禁止法では18際未満の者が児童と広い範囲になっています。
【風営法第4条第1項第2号ホ】
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪
【児童ポルノ禁止法】
第二章 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰等
(児童買春)
第四条 児童買春をした者は、五年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
(児童買春周旋)
第五条 児童買春の周旋をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の拘禁刑及び千万円以下の罰金に処する。
(児童買春勧誘)
第六条 児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、七年以下の拘禁刑及び千万円以下の罰金に処する。
(児童ポルノ所持、提供等)
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
2 児童ポルノを提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
6 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
8 第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。
(児童買春等目的人身売買等)
第八条 児童を児童買春における性交等の相手方とさせ又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の目的で、外国に居住する児童で略取され、誘拐され、又は売買されたものをその居住国外に移送した日本国民は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
参考:児童ポルノ禁止法
ヘ 性的姿態撮影等処罰法
性的姿態撮影等処罰法の正式な名称は「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」といいます。
どのような法律なのかというと、ものすごく簡単に言えば、盗撮や相手を騙して性的な映像を撮影したり、それらを保管、不特定の者に提供したりすることなどを処罰する法律です。
【性的姿態撮影等処罰法】
第一条 この法律は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等を処罰するとともに、性的な姿態を撮影する行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とし、あわせて、押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等の措置をすることによって、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止することを目的とする。
風営法では、この性的姿態撮影等処罰法第2条から第6条までに該当する罪で処罰された場合は風俗営業許可を受けることはできません。
- 性的姿態等撮影罪
- 性的影像記録提供等罪
- 性的影像記録保管罪
- 性的姿態等影像送信罪
- 性的姿態等影像記録罪
上記の罪が性的姿態撮影処罰法の第2条から第6条に該当する罪になり、風営法では欠格事由になっています。
【風営法第4条第1項第2号ヘ】
ヘ 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和五年法律第六十七号)第二条から第六条までの罪
【性的姿態撮影等処罰法】
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
(性的影像記録提供等)
第三条 性的影像記録(前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)その他の記録又は当該記録の全部若しくは一部(対象性的姿態等(前条第一項第四号に掲げる行為により生成された電磁的記録その他の記録又は第五条第一項第四号に掲げる行為により同項第一号に規定する影像送信をされた影像を記録する行為により生成された電磁的記録その他の記録にあっては、性的姿態等)の影像が記録された部分に限る。)を複写したものをいう。以下同じ。)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(性的影像記録保管)
第四条 前条の行為をする目的で、性的影像記録を保管した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。
(性的姿態等影像送信)
第五条 不特定又は多数の者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。次号及び第三号において同じ。)の影像送信(電気通信回線を通じて、影像を送ることをいう。以下同じ。)をする行為
二 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
三 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは不特定若しくは多数の者に送信されないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為
四 正当な理由がないのに、十三歳未満の者の性的姿態等の影像(性的影像記録に係るものを除く。以下この号において同じ。)の影像送信をし、又は十三歳以上十六歳未満の者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、当該十三歳以上十六歳未満の者の性的姿態等の影像の影像送信をする行為
2 情を知って、不特定又は多数の者に対し、前項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像の影像送信をした者も、同項と同様とする。
3 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。
(性的姿態等影像記録)
第六条 情を知って、前条第一項各号のいずれかに掲げる行為により影像送信をされた影像を記録した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
【刑法】
(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。
参考:性的姿態撮影等処罰法
なお、性的姿態撮影等処罰法について詳しく知りたい方は法務省のHPにわかりやすく解説してくれていますので、そちらをご覧ください。
ト 労働基準法に規定されている特定の罪
労働基準法はその名のとおり労働条件の最低基準を定め、この法律の基準より低い労働条件で労働させることは違法になります。
風営法は従業員や派遣従業員に違法な労働をさせたことによって処罰された者を欠格事由で排除しています。
【風営法第4条第1項第2号ト】
ト 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百十七条、第百十八条第一項(同法第六条又は第五十六条に係る部分に限る。)又は第百十九条第一号(同法第六十一条又は第六十二条に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の規定により適用する場合を含む。)の罪
【労働基準法】
第百十七条 第五条の規定に違反した者は、一年以上十年以下の拘禁刑又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
第百十八条 第六条、第五十六条、第六十三条又は第六十四条の二の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
(中間搾取の排除)
第六条 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
(深夜業)
第六十一条 使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。
② 厚生労働大臣は、必要であると認める場合においては、前項の時刻を、地域又は期間を限つて、午後十一時及び午前六時とすることができる。
③ 交替制によつて労働させる事業については、行政官庁の許可を受けて、第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、又は前項の規定にかかわらず午前五時三十分から労働させることができる。
④ 前三項の規定は、第三十三条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させる場合又は別表第一第六号、第七号若しくは第十三号に掲げる事業若しくは電話交換の業務については、適用しない。
⑤ 第一項及び第二項の時刻は、第五十六条第二項の規定によつて使用する児童については、第一項の時刻は、午後八時及び午前五時とし、第二項の時刻は、午後九時及び午前六時とする。
(危険有害業務の就業制限)
第六十二条 使用者は、満十八才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
② 使用者は、満十八才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
③ 前項に規定する業務の範囲は、厚生労働省令で定める。
参考:労働基準法
チ 船員法第百二十九条、第百三十条の罪
船員法とは労働基準法に対する特別法的意味合いが強い法律になります。労働基準法とは異なる特殊な船員の労働条件や船内秩序維持などが規定されています。
船員法も前項と同じく、船上での違法な労働をさせたことにより処罰された者は風営法の欠格事由によって排除されます。
【風営法第4条第1項第2号チ】
チ 船員法(昭和二十二年法律第百号)第百二十九条(同法第八十五条第一項又は第二項に係る部分に限る。)又は第百三十条(同法第八十六条第一項に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法の規定により適用する場合を含む。)の罪
【船員法】
第百二十九条 船舶所有者が第八十五条第一項若しくは第二項、第八十八条又は第八十八条の六の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
第百三十条 船舶所有者が第三十三条、第三十四条第一項、第三十五条、第四十四条の二第一項若しくは第二項、第四十四条の三第一項若しくは第三項、第四十五条、第四十六条、第四十七条第一項若しくは第二項、第四十九条、第六十二条、第六十三条、第六十五条の二第三項(第八十八条の二の二第五項において準用する場合を含む。)、第六十六条(第八十八条の二の二第四項及び第五項並びに第八十八条の三第四項において準用する場合を含む。)、第六十九条、第七十四条、第七十八条、第八十条、第八十一条第一項から第三項まで、第八十二条、第八十六条第一項、第八十七条第一項若しくは第二項、第八十八条の二の二第一項、第八十八条の三第一項、第八十八条の四第一項、第八十九条、第九十一条から第九十四条まで、第百十二条第二項、第百十七条の二第一項、第百十七条の三第一項、第百十七条の四第一項、第百十八条第一項、第百十八条の二から第百十八条の四まで若しくは第百十八条の六第四項の規定に違反し、又は第七十三条の規定に基づく国土交通省令に違反したときは、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
(年少船員の就業規則)
第八十五条 船舶所有者は、年齢十六年未満の者(漁船にあつては、年齢十五年に達した日以後の最初の三月三十一日が終了した者を除く。)を船員として使用してはならない。ただし、同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、この限りでない。
② 船舶所有者は、年齢十八年未満の船員を第八十一条第二項の国土交通省令で定める危険な船内作業又は国土交通省令で定める当該船員の安全及び衛生上有害な作業に従事させてはならない。
(年少船員の夜間労働禁止)
第八十六条 船舶所有者は、年齢十八年未満の船員を午後八時から翌日の午前五時までの間において作業に従事させてはならない。ただし、国土交通省令の定める場合において午前零時から午前五時までの間を含む連続した九時間の休息をさせるときは、この限りでない。
参考:船員法
リ 職業安定法第六十三条の罪
法外な売掛金債務による女性客が、悪徳ホストクラブ➜スカウト➜性風俗特殊営業という流れで無理やり従事させられた場合に、この職業安定法第63条違反で摘発されていました。
現在は風営法が改正されたこともありスカウトバックが全面禁止になり、悪徳ホストクラブに対しては接待飲食営業による禁止行為として風営法による直罰規定も設けられています。
風営法ではこの職業安定法第63条によって処罰された者は欠格事由として排除されます。
【風営法第4条第1項第2号リ】
リ 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第六十三条の罪
【職業安定法】
第六十三条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以上十年以下の拘禁刑又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
一 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。
参考:職業安定法
ヌ 児童福祉法第六十条第一項又は第二項の罪
児童福祉法とは、18際に満たない者の心身や権利を保護する法律です。
「児童福祉法とは」
児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律です。
児童福祉法とは┃内閣府男女共同参画
関連相談機関の1つである児童相談所(第12条)や被害者を居住させ保護する施設の1つとして考えられている母子生活支援施設(第38条)について、規定されています。
風営法では児童福祉法第63条第1項または第2項によって処罰された者は欠格事由によって排除されます。
【風営法第4条第1項第2号ヌ】
ヌ 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項又は第二項(同法第三十四条第一項第四号の三、第五号、第七号又は第九号に係る部分に限る。)の罪
【児童福祉法】
第六十条 第三十四条第一項第六号の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、十年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
② 第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第三十四条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為
二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為
四 満十五歳に満たない児童に戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為
四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為
四の三 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第四項の接待飲食等営業、同条第六項の店舗型性風俗特殊営業及び同条第九項の店舗型電話異性紹介営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為
五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為
六 児童に淫いん行をさせる行為
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
参考:児童福祉法
ル 船員職業安定法第百十一条の罪
船員法と船員職業安定法の違いは、船員法は船員の労働条件や安全を守る法律で、勤務上の環境や権利を定めています。
一方、船員職業安定法は船員の職業紹介や雇用の安定を目的とした法律で、就業支援の仕組みを整えているという違いがあります。
風営法では船員職業安定法第111条の罪で処罰された者を欠格事由にしています。
【風営法第4条第1項第2号ル】
ル 船員職業安定法第百十一条の罪
【船員職業安定法】
第百十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以上十年以下の拘禁刑又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
一 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、船員職業紹介、船員の募集、船員労務供給若しくは船員派遣を行つたとき又はこれに従事したとき。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、船員職業紹介、船員の募集、船員労務供給若しくは船員派遣を行つたとき又はこれに従事したとき。
参考:船員職業安定法
ヲ 出入国管理及び難民認定法第七十三条の二第一項の罪
出入国管理及び難民認定法第73条の2は外国人の不法就労に関する罰則です。
近年、外国人による風俗営業の無許可営業や不当な料金請求、クレジットカードの不正利用など増加傾向にあります。風俗営業にかかわらず不法滞在による建築土木工事の安価な請負なども問題になっています。
出入国管理及び難民認定法第73条の2は不法に就労させた者、つまり使用者側を罰する規定です。風営法ではそのような者を欠格事由として排除しています。
【風営法第4条第1項第2号ヲ】
ヲ 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第七十三条の二第一項の罪
【出入国管理及び難民認定法】
第七十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
参考:出入国管理及び難民認定法
ワ 労働者派遣法第第五十八条の罪
労働者派遣法第58条はアダルトビデオ撮影や性風俗などに就かせる目的で労働者を派遣した場合などに違反となり処罰される可能性があります。
風俗営業は法に則った適正な営業活動であればストレス発散や憩いの場となり得ますが、その営業活動が不道徳、不健全な場合は社会にとって有害な存在になってしまいます。
ですので風営法では公衆衛生上不健全な営業活動をした者を欠格事由として排除しています。
【風営法第4条第1項第2号ワ】
ワ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第五十八条の罪
【労働者派遣法】
第五十八条 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
参考:労働者派遣法
カ 外国人技能実習法第百八条の罪
ここ何年かでコンビニや建築土木現場で外国の方が働いているのをよく見かけるようになりました。みなさん日本語がお上手でものすごく真面目に仕事されています。
そのような実習生の方を不当・違法なやり方で実習させた者は風営法の欠格事由として排除されます。
【風営法第4条第1項第2号カ】
カ 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号)第百八条の罪
【外国人技能実習法】
第百八条 第四十六条の規定に違反した者は、一年以上十年以下の拘禁刑又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
(禁止行為)
第四十六条 実習監理を行う者(第四十八条第一項において「実習監理者」という。)又はその役員若しくは職員(次条において「実習監理者等」という。)は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、技能実習生の意思に反して技能実習を強制してはならない。
参考:外国人技能実習法
以上が風営法第4条第1項第2号の欠格事由になります。これだけでもライフがゼロになってしまいそうですが人的欠格事由はまだまだ続きます。
風営法第4条第1項第3号の欠格事由
風営法第4条第1項第3号では「集団的または常習的に暴力行為や違法行為を行うおそれのある者」を欠格事由として定めています。
【風営法第4条第1項第3号】
三 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
この風営法第4条第1項第3号の欠格事由は前項のような「5年を経過しない者」という期間は設けられていないので公安委員会に該当すると判断されてしまった場合は、理論上は何年経っても許可を受けることはできないことになります。
しかしながら、暴力団や反社会組織などにおいて、余程の凶悪事件かまたは反復継続して違法行為をしていない限り公安委員会から排除されることはないと思われます。ですので、公安委員会の判断にはなりますが、過去に少しヤンチャしていたくらいではこの風営法第4条第1項第3項の欠格事由には該当しないでしょう。
改正風営法第4条第1項第13号
改正風営法では欠格事由として第13号が新設されています。
第13号では、「第三号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を有する者」も欠格者として規定されています。
つまり、第3号に該当する者が、表向きは経営に関与していなくても裏で実質的に支配しているような場合は第13号に該当することになり欠格者として排除されます。
公安委員会規則における欠格事由としての「暴力的不法行為その他の罪」について
▶風営法施行規則第6条(暴力的不法行為その他の罪に当たる行為)
風営法施行規則第6条では、風営法第4条第1項第3号「集団的または常習的に暴力行為や違法行為を行うおそれのある者」として具体的な罪が規定されています。
以下、要約してわかりやすくまとめます。
該当する主な犯罪の種類
- 暴力団・暴力的行為に関する罪
暴行、傷害、脅迫、強要、器物損壊など(刑法208条、222条、223条など)
暴力団関係法、暴力行為処罰法(大正15年法) - 性犯罪
強制性交等(旧・強姦罪)、わいせつ行為、児童ポルノ、売春のあっせん等(刑法177条ほか、児童買春・児童ポルノ禁止法、売春防止法) - 薬物犯罪
覚醒剤、大麻、麻薬、向精神薬などに関する所持・使用・譲渡など(覚醒剤取締法、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法) - 組織犯罪・テロ・重大詐欺
組織的犯罪処罰法に基づく資金洗浄、犯罪収益隠匿、テロ資金供与等 - 詐欺・窃盗・恐喝など財産犯罪
特に営利目的や常習性の高い詐欺、窃盗、恐喝、横領など(刑法246条〜) - 労働関連・職業安定法違反
労働者の違法な仲介、人身売買的な行為、児童労働など(労基法117条等) - その他の法令違反
金融商品取引法、貸金業法、建設業法、保険業法、信託業法、著作権法、児童福祉法など、社会的信用や人権保護に関わる法令に違反した場合。
これらの規定は、風俗営業等が社会秩序に与える影響を考慮し、反社会的勢力の関与を排除するためのフィルターとして機能しています。許可申請時には、これらの前歴の有無が厳格に審査されます。
風営法第4条第1項第5号の欠格事由
続いて第5号の欠格事由ですが、このように規定されています。
【風営法第4条第1項第5号】
五 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
そして風営法施行規則第6条ではこのように規定されています。
【風営法施行規則第6条の2】
(心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者)
第六条の二 法第四条第一項第五号の国家公安委員会規則で定める者は、精神機能の障害により風俗営業の業務を適正に実施するに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。
これは誰が判断するのでしょう?それは第一義的には添付書類で証明することになります。
風俗営業許可申請では添付書類として「市長等の発行する身分証明書」という書類を提出しますが、この証明書には、
- 禁治産または準禁治産の宣告の通知を受けていなこと
- 後見の登記の通知を受けていないこと
- 破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないこと
を公的に証明する書類です。
禁治産、準禁治産とは?
禁治産、準禁治産制度は平成12年以前に存在していた制度で、現在は後見制度に変更されています。
- 禁治産者 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、現在は成年被後見人に変更されています。
- 準禁治産者 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者で、現在は被保佐人に変更されています。
また、法務局では「登記されていないことの証明」という証明書も取得できますが、これは自身が成年被後見人または被保佐人として登記されていないことを証明する公的書類になります。
厳格な身分証明が必要な許認可申請の場合は「身分証明書」と「登記されていないことの証明書」の2種類が必要になります。
この公的証明書を添付することによって風営法第4条第1項第5号の欠格事由に該当していないことを証明します。
では、この身分証明書のみで風営法第4条第1項第5号の欠格事由に該当しないのかというとそういう訳ではなく、警察官や公安委員会自らが判断する場合もあります。
例えば、事前相談時に警察官の質問に対して受け答えが全くできないなど、警察官が疑わしいと感じたときは医師の診断書などを添付書類として求められる可能性もあります。
具体例としては、
- 統合失調症
- 重度のうつ病
- 双極性障害
などがあり、日常生活や社会的活動に大きな支障をきたしていると診断されている場合は公安委員会の判断によって許可を受けることはできなくなります。
しかしながら、判断するポイントは「風俗営業を適正に実施するに当たって必要な認知・判断・意思疎通が適切にできない」という点なので軽度の障害や、投薬などで安定していて業務に支障がないと医師が判断している場合は、許可が出るケースもあります。
風営法改正によって新設された欠格事由
風営法の改正によって新設された欠格事由は、第4条第1項第7号〜第10号です。改正前の第7号は改正後の第8号の一部になり、改正前の第8号、第9号はそれぞれ改正後の9号、10号に吸収される形になっています。
改正風営法第4条第1項第7号のポイント
【改正風営法第4条第1項第7号】
七 当該許可を受けようとする者(法人に限る。イ及びハにおいて同じ。)と密接な関係を有する次に掲げる法人が第二十六条第一項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者である者
イ 当該許可を受けようとする者の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの(ロにおいて「親会社等」という。)
ロ 親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの
ハ 当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、又はその事業に重要な影響を与える関係にある者として国家公安委員会規則で定めるもの
この新設条文は、「法人の背後関係や過去の処分歴」に着目し、許可を出すべきではないケースをより厳しく定めたものです。
第7号のポイントは、申請法人と密接な関係を持つ法人が、過去に許可を取り消された場合、その申請者は欠格とされます。
密接な関係とは次のような関係です。
- イ 親会社(申請法人が、他法人(親会社等)に支配されている場合)
- ロ 子会社等(親会社等が申請法人を支配している場合)
- ハ 申請法人が他法人を支配している場合
上記のような関係がある場合で、取り消しから5年以内だと、許可を受けることはできません。つまり、「申請法人」「親会社」「子会社」など、グループ全体の過去の取消歴を調べるという厳格化です。
改正風営法第4条第1項第8号のポイント
第8号のポイントは、取消処分が行われそうな時期に、自主的に許可証を返納して逃れた者も、5年間はNGということです。
【改正風営法第4条第1 項第8号】
八 次のいずれかに掲げる期間内に第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
イ 第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間
ロ 第三十七条第二項の規定による風俗営業の営業所への立入りが行われた日から聴聞決定予定日(当該立入りの結果に基づき第二十六条第一項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国家公安委員会規則で定めるところにより公安委員会が当該立入りを受けた者に当該立入りが行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間
許可取消処分の「前段階」である聴聞や立入りの後に、自主的に許可証を返納した場合も、正当な理由なく返納していれば欠格となります。
つまり、処分前に「自分からやめた(返納)」場合でも、それが処分回避のためと見なされるとダメということです。
対象となる返納のタイミング
- イ 取消処分の「聴聞」の日程が公示されてから処分が決まるまでの間
- ロ 立入り調査から、聴聞決定予定日までの間(いわば調査逃れ)
※「正当な理由で廃業した場合」は除外されます。
申請法人(A社)
↑ ↓ ↑
| | |
[親会社] [子会社] [支配関係のある他法人]
↑これら密接関係法人の中に以下があるとNG
【NGとなる条件】
・過去5年以内に許可取消(第26条)
・取消を察知して正当理由なく許可返納(逃げ)
↓
→ A社(申請法人)は欠格
改正風営法第4条第1項第9号のポイント
第9号のポイントは、合併・返納逃れをした法人の役員だった者も5年間は欠格者となり許可を受けることはできません。
【改正風営法第4条第1項第9号】
九 前号イに掲げる期間内に合併により消滅した法人若しくは第十条第一項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号イの公示の日前六十日以内に役員であつた者又は同号ロに掲げる期間内に合併により消滅した法人若しくは同項第一号の規定による許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号ロの立入りが行われた日前六十日以内に役員であつた者で、当該消滅又は返納の日から起算して五年を経過しないもの
第9号では以下のようなケースで、当該法人が風俗営業許可を取ろうとする場合は「欠格」となります。
- 取消処分の「聴聞」の日程が公示されてから処分が決まるまでの間
- 立入り調査から、聴聞決定予定日までの間
上記1または2の期間内に、
- 法人が合併して消滅した場合
- 許可証を返納した場合
上記1または2の場合において、「その直前60日以内に役員だった人」は欠格となります。欠格の期間は「5年間」です。
※合併や返納について「相当な理由がある」と認められた場合は除きます。
取消されそうな法人(B社)
↓
[公示前60日以内に役員だった人]
↓その後…
・合併してB社は消滅
・または返納(正当理由なし)
↓
→ 当該役員個人は、5年間欠格
第9号は、「名前だけ法人を消して逃げた」ようなケースの役員を排除する規定です。
改正風営法第4条第1項第10号のポイント
第10号は、取消処分を逃れるために会社を「分割」して風俗営業を別法人に承継するケースも欠格対象になるという規定です。
【改正風営法第4条第1項第10号】
十 第八号イに掲げる期間内に分割により同号イの聴聞に係る風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)若しくはこれらの法人の同号イの公示の日前六十日以内に役員であつた者又は同号ロに掲げる期間内に分割により同号ロの立入りに係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)若しくはこれらの法人の当該立入りが行われた日前六十日以内に役員であつた者で、当該分割の日から起算して五年を経過しないもの
前項と同じく、
- 取消処分の「聴聞」の日程が公示されてから処分が決まるまでの間
- 立入り調査から、聴聞決定予定日までの間
の期間内に、営業を分割して別会社に引き継いだ場合、その引き継いだ会社や、60日以内にその会社の役員だった人も欠格者として5年間は風俗営業許可から排除されます。
第10号は、「廃業・分割で処分逃れ」などはできないようにするのが目的の規定になります。しかし、この規定も「分割に相当な理由がある」場合は対象外です。
取消処分が見込まれた法人(C社)
↓
会社分割
↓
風俗営業を引き継いだ新法人(D社)
【NGとなるケース】
・D社がC社の風俗営業を承継
・D社の役員が、立入前60日以内にC社の役員
↓
→ D社および該当役員は5年間欠格
風営法第4条第1項 | 対償 | 欠格理由 | 欠格期間 |
---|---|---|---|
第7号 | 関連法人 | 過去5年以内に許可取消 | 5年間 |
第8号 | 本人 | 取消前に故意に返納した | 5年間 |
第9号 | 元役員 | 合併や返納前60日以内の役員 | 5年間 |
第10号 | 承継法人と元役員 | 分割で承継+60日以内役員 | 5年間 |
新設欠格事由のまとめ
改正風営法第4条第1項第7号〜第10号の新たに設けられた欠格事由ですが、この規定は「処分逃れを目的とした形だけの廃業・分割・合併などによる許可のリセット」を防ぐための改正です。
今後の営業許可において、組織再編や廃業を使った「責任逃れ」を封じ、事業の透明性・適正性を確保することが狙いなのではないでしょうか。
まとめ
今回は改正風営法の人的要件である欠格事由について詳しく説明してきました。欠格事由は風俗営業許可を申請する上で許可を取得できるかでいないかというとても大事な要件となります。
風俗営業許可申請という業務に携わっている以上、我々行政書士が欠格事由について適当なヒアリングで終わらせてしまうと「不許可」となりかねません。その場合、莫大な損害をお客様に与えてしまうことになります。
ですので、どのような罪やケースで欠格事由となるのかということをしっかり頭に叩き込んでおかなくてはいけないのです。
風俗営業の開業を検討中の方で、自身が風俗営業の許可を受けることができるかどうか知りたい方は、ぜひ弊所までお問い合わせください。
プロフィール

- 行政書士
- 平成23年度行政書士試験合格。10代の頃から建設業界で職人として働き、試験合格後も一人親方として現場で10年働き続け、令和4年5月に行政書士登録、 独立開業。初めて受任した業務が風俗営業1号許可申請。その後も風俗営業許可申請業務を多く経験し、現在は専門業務として活躍中。地元は灘のけんか祭りで有名な白浜地区。宇佐崎村で毎年祭りに参加。
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