【風俗営業許可】オーナーが変わると新しい許可証が届くまで営業できない?

個人で風俗営業許可を取得されている方から、以下のようなお問い合わせをよくいただきます。

近々チーママにお店を譲って、私は辞めようかなと思っているんですけど飲食店営業許可証と風俗営業許可証はそのまま使えますか?

なるほど、わかりました。
それではチーママさんにお店を譲ってそのまま現在と同じ場所、お店の名前で新規の営業許可が必要か説明していきますね。
個人で許可を取得されている場合、お店の名称とは別に申請者個人の名前で許可証が交付されます。風営法ではオーナーが変わった時点で風俗営業の廃業という扱いになります。
ですので、本来ならば風俗営業許可証の返納をして新規で風俗営業許可を受けないと営業できないというのが原則です。
しかしながら、現在の経営者から新経営者に営業権を譲渡し、現在と同じ場所、同じ店の名前でそのまま営業することはできないのか?ということをこの記事でお話ししていきたいと思います。
目次
まず所轄警察署に相談しよう
お店を新経営者に譲る前に、まず最初にやるべきことは「所轄警察署に相談する」ということです。
許可を受けた際の担当警察官は変わっているかもしれませんが、経営権を譲渡し経営者が変わるということを伝えておくと今後すべき手続きを教えてくれますし手続自体スムーズに進むはずです。
それでは次のステップに進みましょう。
飲食店営業許可の名義変更
令和5年12月より飲食店営業許可は事業譲渡による許可証の名義変更ができるようになりました。
それ以前は相続や法人の合併・分割でしか地位承継は認められませんでしたが、令和5年12月からは事業譲渡による地位承継も認められるので新たに許可を受け直す必要はありません。
具体的な名義変更のやり方は保健所に地位承継届と添付書類を提出し、その後施設内検査が完了すれば許可証の申請者名のみ変更された飲食店営業許可証を受け取ることができます。
正直、新規で許可証を取り直すのとそこまで手間は変わりません。では何がメリットか?というと申請手数料がかからないことです。新規で飲食店営業許可を受ける場合16,000円(兵庫県の場合)必要ですが名義変更は無料でできます。
詳しい名義変更のやり方は下の記事をご覧ください。
新しい飲食店営業許可証を受け取ったら次は風俗営業許可に進みます。
風俗営業許可は名義変更できない
風営法で営業者が変更された場合に名義変更が認められるのは①相続承認申請、②法人合併承認申請、③法人(新設・吸収)分割承認申請の3パターンのみです。
ですので、飲食店営業許可のように事業譲渡による許可証の名義変更はできません。
加えて、法人で風俗営業許可を受けていれば法人そのものが変わらない限り、役員変更に伴う変更届で済むので新規で許可を受ける必要はありません。
問題は個人で許可を受けている場合です。
個人の場合は新規の許可取り直しは必要
規模の大きいキャバクラやホストクラブでは法人で許可を受けることもありますが、〜60㎡くらいの規模の風俗営業店では個人で許可を受けている方が圧倒的に多いです。
個人で許可を受けた場合、営業所の名称とは別に申請者個人の名前で許可証が交付されます。

ですので個人で許可を受けた場合は申請者(経営者)が丸ごと変わってしまうことになるので風俗営業許可の取り直しが必要になるというわけです。お店の場所が変わる場合も同様です。
ではどうやって許可を取り直すのか?その間お店は閉めないといけないのか?それとも飲食店営業のみで営業することになるのか?という疑問が出てくるのは当然のことです。
では上記のような疑問に対して詳しく説明していきます。
お店の名称は変更できる
心機一転とお店の名称を変えて新たにオープンする場合は、変更届と許可証の書換え申請をすれば新たに許可証を取り直さなくてもそのまま営業できます。
風俗営業許可の取り直し方
結論から申し上げますと、許可の撮り直しの間はお店を閉めることも飲食店営業のみで営業することも必要ありません。そのまま現在の状態で風俗営業を続けられます。
ただ、それには1つ条件があり、それは「新しい風俗営業許可証が交付されるまで経営者は交代することはできない」という条件が必要になります。
それならこれまでと一緒じゃん、と思われるかもしれませんがこれが違うんです。
どういうことかと言うと、現在の許可証をお店に残したまま新たに風俗営業許可の申請をすることができる、という取り扱いになっています。要は経営者の交代するタイミングを新許可証が交付されたタイミングで交代させるということですね。
なぜこのような取り扱いなのかと言いますと、現経営者から新経営者に事業譲渡した時点で旧経営者の風俗営業許可は風俗営業の廃止という取り扱いになりその時点で許可証の返納義務が生じます。そしてそのまま旧許可証を返納せずに営業を続けると「名義貸し」や「無許可営業」となり違法状態となってしまいます。
警察からすると新規で許可を受ける間に営業ができなくなるとすると重大な経済的損失を新経営者に与えてしまうことになります。
ではどうすれば新経営者に経済的な損失を与えずに新規で許可を受けさせることができるか?というところで「旧許可証をお店に残したまま新規で風俗営業許可の申請をさせて、かつ、旧経営者と新経営者の交代するタイミングを新許可証の交付されたタイミングでさせる」のがベストと考えたわけです。それに新許可証が交付されるまで旧許可証は受け取ってくれません。
ここで最初の所轄警察署に相談するというのが効果を発揮するのです。この相談があることによって旧許可証を残したまま新規申請できるという手続きがスムーズに進みます。
ここまでの手続きを時系列にしますと、
- 現経営者と新経営者で事業譲渡契約
- 所轄警察署に事業譲渡について相談
- 飲食店営業許可名義変更
- 所轄警察署に風俗営業許可申請←今ここ
- 構造検査
- 新風俗営業許可証交付&旧許可証返納
- 経営者の交代
- 新経営者による営業開始
です。
それでは4以降を詳しく説明していきます。
新規風俗営業許可申請
通常の許可申請と変わりません。許可申請書を作成し、添付書類を取得して所轄警察署に申請します。
営業所内の構造検査も行われます。風俗営業許可申請について詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください。
新許可証の取得と旧許可証の返納
構造検査が無事に終ると約3週間〜5週間ほどで所轄警察署から許可が下りたとの連絡が入ります。
事業譲渡による風俗営業の新規申請は、法律上の取り扱いは「新規」になりますが行政上の取り扱いは「継続」という取り扱いになります。ですので構造検査でのチェックや許可証の交付までは比較的早く完了します。弊所が受けた依頼では構造検査から約3週間で許可証が交付されました。
旧経営者から新経営者に経営権譲渡のタイミングは旧許可証の返納は新許可証との引き換えが条件になっています。ですので新許可証を受け取りに行った際に旧許可証を持参していないと新許可証は受け取ることができません。
忘れずに必ず所轄警察署まで持って行ってください。
行政書士が代理でする場合
行政書士が代理で今回のような依頼を受けた場合は、新規申請は新経営者から委任状をいただき、旧許可証の返納は現経営者(旧経営者)から委任状をいただきます。ですので新許可証の受け取りと旧許可証の返納の際は両名の委任状を忘れずに提出してください。
まとめ
今回は、現経営者から新経営者に経営権の譲渡(事業譲渡)する場合に引き続き営業しながら飲食店営業許可の名義変更、風俗営業の新規許可申請、加えて許可証の返納のタイミングを詳しく説明してきました。
警察も許可証の返納と新規許可申請でお店がストップしてしまうのはまずいということを分かっているので事前に相談するというのが非常に大事になってきます。
弊所では飲食店営業許可の名義変更、風俗営業新規許可申請、許可証の返納届の3点セットパックをご依頼された場合に旧許可証の返納届(税込22,000円)を無料で承ります。
風俗営業に関して気になることやお困りのことがあればお気軽に弊所までご相談ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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- 行政書士
- 平成23年度行政書士試験合格。10代の頃から建設業界で職人として働き、試験合格後も一人親方として現場で10年働き続け、令和4年5月に行政書士登録、 独立開業。初めて受任した業務が風俗営業1号許可申請。その後も風俗営業許可申請業務を多く経験し、現在は専門業務として活躍中。地元は灘のけんか祭りで有名な白浜地区。宇佐崎村で毎年祭りに参加。
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